2017年6月22日木曜日

AIによる大失業時代に大事な「iPS細胞化」と、島で学べる(かもしれない)軽やかに生き続けること(石坂)

こんにちは。
島ぐらしコンシェルジュの石坂です。

久米島は、本日梅雨明けです!


久米島 島ぐらしコンシェルジュさん(@kumejima_shimagurashi)がシェアした投稿 -

久米島 島ぐらしコンシェルジュさん(@kumejima_shimagurashi)がシェアした投稿 -


今回は、そんな爽やかな話題とは別の話になります(笑)。

AIが人の仕事を奪う「大失業時代」が始まっている


どこかSFのように遠い別の世界、未来のように感じている
「AIが人の仕事を奪う」時代。実は、もうとっくに到来しているのだと
痛感しました。

現代ビジネスの記事「ついにメガバンクに「大失職時代」がやってきた!」を読むと
よくわかります。

次に紹介するのは、配置換えにあった大手信託銀行のベテラン職員の上司の言葉です。

「彼らは現場を経験し、どこにどんな誤りが潜んでいるのかを知り尽くした人材です。
たとえば、融資や投資の実行日が休日になっていないか。投資商品ならば、顧客の資産や年収に比べて無理な取引になっていないか。ハンコやチェックが漏れていないかなど、その確認は細部に及びます。
これまでの銀行業務では、そうした長年の経験の積み重ねによって培われた能力が必要でした。
しかし、今後は書類が電子化され、手書きの書類がなくなってしまうんです。営業マンは各自タブレット端末を支給され、そこに必要事項を打ち込んでいく。
コンピュータが入力ミスなどを指摘して、その場で完璧な書類ができあがる。後はそれを上司に転送するだけ。
これまで重要視されてきた仕事が、IT化によってあっさりと必要なくなってしまう。実に残酷な話です」
【引用】現代ビジネス:「現代ビジネス:ついにメガバンクに「大失職時代」がやってきた!

彼らはこれまでのシステムでは非常に優秀で、必要とされる人材だったのですが、
コンピュータにとって代わられることになります。
そして、この「書類のチェック」という仕事は今後消滅するでしょう
(未来の雇用も奪われることになります)。

銀行だけの話ではない


自分で体感した、他の例をご紹介します。
我々久米島 島ぐらしコンシェルジュの運営する移住定住の為のポータルサイト
「久米島 島ぐらしガイド」ですが、サイトの修正をどうすればいいか悩んでいました。
ネット検索でwebサイト分析を手がけているWACUL(ワカル)さんのサービスを見つけ、
無料診断を申し込みました。

サービスは、googleアナリティクスと連携しAIが自動でサイトの課題と
改善案を提案してくれる、「AIアナリスト」というサービスでした。

このAIアナリストの診断結果を元に、担当のMさんという方が
zoomで的確なアドバイスを下さり、提案内容は「目からうろこ」なもので、
サービスとして非常に満足度の高いものでした。

会社についてのお話も伺いました。
会社的にはこれまで成果報酬型のwebコンサルをしていたそうですが、
そのノウハウを詰め込みAIシステムを開発し、
現在ではAIにサービスを全て切り替えたそうです。
結果、分析にマンパワーがかからず、費用もwebコンサルと契約するより
かなり安価な提案ができるようになっているようです。
こちらも「AIが人の仕事を奪った」と言えるのではないでしょうか。

AIにより仕事が奪われると何が問題か


AIにより仕事が奪われると、何が問題なのでしょうか。
優秀な方はこのように言います。
「AIにより仕事が奪われても新たな仕事が生まれるから大丈夫」。
一理ありますし、結局は新しい仕事に柔軟に対応していけるように
ならなければならないのでしょうが、
感情的には「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」くらいな言葉だと
感じてしまいます(笑)。

こちらも実感値ですが、そもそも近代のビジネスシーンでは、
働く人、一人ひとりがとても硬度に分化した仕事をしているな、と感じます。
例えば「○○部署の事務作業をする」「○○というシステムの使い方を教える」、
「○○という商品についてセールスをする」「○○プロジェクトの会議運営をする」
等・・・
高度な生命体を支える高度に分化された細胞のようだな、と感じました。
図:胞分化(出典:日本科学未来館科学コミュニケーターブログ

会社を辞めるときに考えてみたことがあります。
「自分一人でお金を稼いだことがこれまであっただろうか」と。
アルバイトや社員は、ある仕事を果たし、対価としてお金をもらう、という
働き方です。
自分のつくったものを自分で広め、自分で売り、
自分で会計処理まで済ませるようなことはしてきていない。
一人ではお金を一銭も稼いだことがないのだと痛感しました。

そして、高度に分化された仕事が機械に奪われると、
今まで積み上げたプライドが崩壊し、自信を失い、
絶望に近い感覚を受けてしまうのではないでしょうか。
感情的な話ですが、そんな「絶望」が増えていくことのほうが問題のように思えます。

先程の例で、配置換えにあった職員は次のように語っています。
「新しい職場で能力を活かしてほしいと言われても、私はこの仕事を20年やってきたんです。これから新しい知識や技術を一から覚える気力はありません」
【引用】現代ビジネス:「現代ビジネス:ついにメガバンクに「大失職時代」がやってきた!

「機械によって仕事が奪われる」こんな絶望が今後増えていく可能性があります。

iPS細胞の「初期化遺伝子」を自分に埋め込む


では、これからどう生きればよいのでしょうか。
メタファーとして細胞分化の話を取り上げましたが、
このメタファーから学べることとして「文化された細胞は初期化できる」
事があるように思います。

図:iPS細胞の作り方(出典:TDK Techno Magazine

文化された細胞に初期化に必要な遺伝子を送り込むことで、
細胞の初期化が起き、再度分化や分裂が可能なiPS細胞が出来ます。

働く人にとっては、細胞のように完全に初期化まではいかないでしょうが、
・何かを学び直したり、
・新しく学びはじめ続けたり、
・違う仕事を掛け持ちしてみたり、
・これまでとは違う働き方、生き方に挑戦し続けたりし、
・自分のパラダイムを壊し改変し続ける
そんなことができる自分になるという発想は、
一つの希望のように思えます。

単純に「AIの発展により生まれる仕事にキャッチアップしないと生きていけない」
という発想よりも、ワクワクしないでしょうか。

島への移住はiPS細胞化に有効かもしれない


一度分化しても、もっとシンプルな状態まで戻り、いつだってやり直せる。
島への移住は、ひょっとしたらiPS細胞化に有効なのではないかと考えています。
これまでやったことのない事に挑戦する機会が多くなることと、
専門分野だけではなくマルチに仕事をしていく環境であるからです。

Uターン、Iターン問わず移住者の方は、これまでのキャリアを一旦棚上げし、
新しい仕事に挑戦する人も多いように思います。
暮らしに関しても、草刈りや行事への参加など、これまでやったことのない事に
挑戦する機会も多くなるでしょう。そんな環境で暮らしていると、
どこか凝り固まった自分が解きほぐされるような感覚を覚えます。

また、島では都会と比較し、高度に文化された仕事よりも、
複数の仕事の組み合わせで運営されるケースが多いのではないでしょうか。
僕の経験でも、「ガソリンスタンド兼釣具屋」とか、
「渡し船とウェブサイト作成」とか、マルチな仕事を持つ方が多くいらっしゃいます。

柔軟に仕事を変えたり、組み合わせたり、新しくしたりと
そんな生き方をしている人を見ると、
なんとクリエイティブなのだろう、といつも感嘆します。
(勿論そんな人ばかりではないでしょうが、
日常的にそういう人達と接することはできます。)

やってみていること


そんな方々と接しながら、いつしか僕もiPS細胞化していきたいと
思うようになりました。

僕の場合、まずはマルチワークから。
まだまだ昔取った杵柄で働いていることも多いのですが、
ウェブライター、商品説明のライティングや簡単なweb注文フォーム作成、
調査・レポート作成業務など。
その他たまにバイトをしたりします。
月5,6万くらいは段々安定して副収入を得られるようになってきました。

今後は単価の向上と楽しみながら仕事する生活環境づくり、
そしてより自発的な仕事づくりが課題です。

(許しを得た上で)バイトで暇な時にライティングをして
総合的単価をあげようとしたり、アウトドアしながらレポートを書いたりなど、
色々模索しています。

奥武島でキャンプしながら仕事。楽しすぎて仕事になりませんでした(苦笑)

あと、島コンの活動ともリンクさせて、社会調査や統計を勉強中です。
勉強しながら、そのうち仕事として受けられるようになればと思っております。
また、アウトドアグッズのレンタルなんかもしていきたいですね。

今はあまりやることに固執せず、軽やかに生きていければと思っております。

軽やかに生き続ける


地方への移住、定住のニーズは高まっています。
2015年の国土交通白書では、2005年と2014年の調査結果を比較し、30代の農山漁村への定住願望が17.0%から32.7%へ、40代では15.9%から35.0%へと伸びていることを指摘しています。
図:「都市住民の農山漁村への定住願望(ある・どちらかというとある)」

要因は様々でしょうが、移住定住に関する相談窓口を一年間やってきた実感として、
「これまで高度に分化されすぎた自分の初期化」や
「今後変動が激しくなる社会の中でも生きていくための基盤づくり」といった
動機もあるように思います。

まだまだ開拓の余地がありますが、島や田舎で
マルチに軽やかに食い扶持をつくっていくことで、今後の社会でも
生きていく工夫と知恵、そして自信が身につく可能性がある気がしています。

それは今後の日本において価値がある学びの機会なのではないかと、そんなことを
考えていたりします。