島ぐらしコンシェルジュの石坂です。
島根県の離島、海士町で僕は3年半ほど過ごし、
縁あって久米島に移住してきました。
その中で、一番言われて困るのが、
「海士を捨てたんだな」
という言葉。
自分自身追い求めたいテーマやタイミングなど、様々な要因が重なり、
今回久米島で働くことにしましたが、少なくとも言えるのは、
海士町が嫌いで出たわけではありません。
捨てたつもりもありません。
ので今回は自己弁護がてら、
海士を出る必要があると思った理由(の一部分)について書いてみたいと思います。
***
これまで海士町は、「Iターンが多い島」
「人が集う島」としてメディアに取り上げられてきました。
石破大臣が久米島に来島されて講演された時も海士の話が出るほど、
「地方創生」というジャンルにおける先進地としての地位を確立しています。
僕が島にいるときに試算してみたところ、
年間の観光客の約1割は視察客のようでした。
財政規模も年が経つごとに肥大化しています。
沖縄と比べても経済的に豊かな生活を送っています。
今の海士町は経営的に成長期に乗っていると思います。
しかし、いずれ成長期は成熟期へと入り、衰退期へと入ります。
その衰退を避け、発展させようと海士の人たちは画策し挑戦を続けています。
海士は先進地であり、日本の未来へのタグボートであり続けることを
自治体の経営戦略として選択しています。
では今後「先進的」とされる事はなんでしょうか。
これは想像の世界を超えないのですが、
2つの姿が思い描けます。
1つは、Uターンという文脈で、Uターン起業家達が活躍する海士町。
もう1つはIターンという文脈で、
人が育ち巣立つ、人材輩出自治体としての海士町、という姿です。
前者は機会があればまた語るとして、後者について今回は語ります。
例えば大学生にとってリクルートが魅力的な企業として目に映る要因の一つとして、
リクルート卒の起業家が多いことが挙げられると思います。
この人材輩出企業としての側面に魅せられ、人が期待し集い育ち巣立ち、
また新たな人を惹きつける。この好循環があるからではないでしょうか。
このようなモデルを踏襲し、人材輩出自治体としての可能性を開拓することで
海士町は新たな成長期に入ることができるのでは、と考えています。
海士町時代の社長が好んで使った言葉に、次のようなものがあります。
「You should be the change that you want to see in the world」
あなたの見たい変化に、あなた自身がなりなさい
という言葉です。
その言葉を実現しようと思いました。
僕が海士を出たのは、海士にいて働くよりも、海士を出て活躍することで、
自分のありたい姿に近づきながら海士にも恩返しできるという
魅力的な可能性があったからです。
どこまでできるのかはやってみないとわかりませんが、
そんなことを思いながら、この島ぐらしコンシェルジュの仕事をして参ります。